東京ろまん建築巡礼 東京ルーテルセンター(旧日本神学校) 東京の中心、再開発地域に建つ歴史的建築 東京 建築

東京の中心、再開発地域に建つ歴史的建築

飯田橋界隈と言うと、西口の警察病院跡の再開発が進み、現代的な高層ビルがいくつも建ち、その街並みを変貌させています。意外に高低差のある土地で、駅から東京大神宮の坂道を下った「富士見」には貴婦人のようなシンプルで美しい建物もあります。その建物とは「東京ルーテルセンター」戦前、日本神学校というキリスト教の牧師を養成する学校として建てられたものです。


外観から見ると、リフォームがなされて建てられてから新しい建物のように感じられますが、1937(昭12)年に竣工したという東京都の選定歴史的建造物にも指定されている建築物です。



設計は大阪の住友本社ビル(昭5年)の設計などで知られる長谷部鋭吉(1886−1960)によるものですが、彼は住友関連の建築物を手がけた建築家で、現在も関西にはいくつかの作品が残存しています。

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「無造作な」中庭が見ものの建築物

このルーテルセンターには現在、教会、語学学校、音楽学校などキリスト教団体の事務所がいくつも入居しています。外観はもとより中に入るととても「シンプルさ」に目を奪われます。



明かり取りのためであるのか、「無造作な」という表現がしっくりくる中庭を中心として回廊状に部屋が並んでいます。まるで外国映画の1シーンに足を踏み入れたようです。


このセンターの前身、日本神学校は1930年に明治学院神学部と東京神学社が合併、1937年東北学院神学部が合流して設立されたものです。その1937年に長谷部の設計により新校舎が建設されました。戦後になりこの学校は、三鷹市に移転し、東京神学大学へと改編されました。

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東京におけるルーテル教会の拠点

1950年ごろ、アメリカのルーテル教会(ルター派を日本ではこのように呼びます)宣教師団は本部として、また将来神学校として使用できる建物を探していました。鉄筋コンクリート地上4階、地下1階で2つの塔屋を持つこの建物は、都心にあり交通の便もよく理想的な場所でもありました。1951年に東京ルーテルセンターと名づけられて今日に至っています。



〈メモ〉
☆施工:大倉土木
☆構造:鉄筋コンクリート造3階建
☆所在地:東京都千代田区富士見1-2
JR・東京メトロ「飯田橋」駅徒歩8分

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